リサーチ手法
セルフ型リサーチ

セルフ型リサーチとは?
調査の実施時にリサーチ会社を介する場合、調査票の作成、内容のチェックおよび精査、アンケート配信からデータの回収・分析まで、リサーチに関わる作業は調査会社が行います。これら全工程を調査の依頼側が担って実施する調査方法を「セルフ型リサーチ」といい、「セルフ型ネットリサーチ」や「DIY型リサーチ」と呼ぶこともあります。調査会社を介したネットリサーチと比較すると、セルフ型リサーチは納期が短く調査コストも抑えられるため、近年、利用頻度が増えています。
セルフ型リサーチの仕組み
セルフ型リサーチでは、Web上で提供されているアンケートツールを利用することが一般的で、米国発の「Survey Monkey(サーベイモンキー)」やマクロミル提供の「Questant(クエスタント)」、株式会社ジャストシステムの「Fastask(ファストアスク)」などがあります。アンケートはツールを用いて自主作成しますが、調査協力者のリクルートに関しては、調査の依頼主自身が用意する場合とリサーチ会社が保有するモニターへ回答依頼をする2つの方法があります。
「Survey Monkey」は、回答(サンプル)も調査の依頼主が用意するタイプに該当。SNSやブログなど、提携するホームページにバナーやアフィリエイト広告などで設問を表示させて回答を集める仕組みです。
「Questant」は、メールやSNSを利用したり、QRコードを配布することでアンケートを回収可能な他、自身でモニターを集められなくても提携パネルへアンケートを配信&回答してもらうこともできます。
「Fastask」は、提携リサーチ会社に登録されているモニターの中から適切な対象者を選択してデータ収集を実施することが可能です。
セルフ型リサーチの活用シーン
次のようなシーン、ニーズの場合にセルフ型リサーチを活用すると良いでしょう。
・低価格かつ短納期で調査を実施したい
・調査に関する打ち合わせ回数を減らしたい
・自社製品やサービス、競合などの利用実態を知りたい
・広告をはじめ販促物に活用するデータがほしい
・ターゲット層のライフスタイル調査
その他、広告のABテスト、裏付けデータの収集や、セミナー研修後の理解度、満足度調査にも活用できます。中には、調査目的だけではなく、投票といったコミュニケーションツールとしての活用や社内意見の収集などにも役立てられます。
セルフ型リサーチのメリット・デメリット
メリット
セルフ型リサーチのメリットとして、「価格」「スピード」「柔軟性」という3つのポイントがあげられます。リサーチ会社を経由しないため調査費用を抑えることが可能。また、実施決定からデータ回収までを自身でハンドリングするため、迅速に調査を進められる点も魅力です。設問内容の変更など、修正も気軽に行える柔軟性も持ち合わせています。
デメリット
セルフ型のネットリサーチではWeb上で回答ユーザーを集めるため、モニターに偏りが生じる可能性が少なからずあります。また、アンケートルール導入当初は、システムの利用法の理解や作業時間の確保、誤操作に対するリスクなどがデメリットとして考えられます。
セルフ型リサーチの注意点
セルフ型リサーチでは誰でも簡単に調査を行えますが、アンケート作成に慣れていない場合、回答者に誤解を与えるような表現や、無意識に誘導してしまう設問を作ってしまう可能性がゼロではありません。適切で分かりやすい表現を心がけることが、調査結果の信頼性を高めることにもつながります。
より精度の高い結果を得るためのもう一つの注意点が対象者および調査規模で、偏りが生じない環境を準備することが大切です。必要十分なサンプル数の用意はもちろん、特定条件のパネルを抽出してリサーチを行う際にはどの程度スクリーニングをかけるべきかを考える必要もあります。
またフリーアンサーでの回答を設ける際は、自由な回答は統計的な処理が困難なので可能な限り選択肢を用意する方がベターです。しかし、フリー回答に合わせて数字などを聞きたいといったようなケースでは、フリー回答させたい回答欄の後ろに、たとえば「円」など指標となるものを明記し、表記揺れを防ぐ手段を講じておくことをおすすめします。