リサーチ手法

コンジョイント分析

コンジョイント分析とは?

コンジョイント分析とは多変量解析のひとつで、商品やサービスにおける最適なコンセプトの決定を目的とした分析手法です。どこをどう変えれば消費者の評価が高まるか、商品やサービスの規格や性能といった各要素がどの程度の影響を持つのかなどを探ることができます。

 

その結果、消費者が商品を選ぶときに重視している項目や、どの組み合わせが最適かを把握できるほか、組み合わせに応じて評価がどう変化するかの予測も可能です。商品開発の戦略立案サポートに適しています。

 

コンジョイント分析の仕組み

コンジョイント分析では、個別の要素を評価するのではなく、商品全体の評価をすることで個別要素の購買に影響する度合いを算出します。

 

機能やスペックなどに想定販売価格を含め、考えられる組み合わせを複数用意し、モニターに各パターンについて評価してもらいます。すべてを兼ね備えた製品が実現できればいいのですが、現実的には不可能です。そのため、さまざまな組み合わせを評価していく際、商品の具体的スペックにトレードオフが発生し、対象者ごとの重視するポイントを明らかにし、商品スペック各々の購買意欲を高める力を算出できます。

 

つまり、特徴を組み合わせて消費者の選好を導き出すというのが、コンジョイント分析の基本となります。

 

コンジョイント分析の種類

コンジョイント分析が開発された当初は、製品特徴の組み合わせを紙などに記し、そのカードをモニターに選択したり並べ替えたりして、調査・分析を行っていました。その名残から、現在でもカード型プロファイルを用いて調査する方法が実施されています。

 

分析ツールが発達した今、コンジョイント分析にもいくつかのバリエーションが存在します。

 

そのひとつが「ACBC」で、コンピューターテクノロジーを活用し、消費者や対象企業の“本音”を明らかにする分析手法です。「BYO(Build Your Own)質問」という、モニターの好みを直接的に聞くことで、それ以降の質問を効率的に提示していきます。さらに、モニターにとって不可欠な要素を聞き取ることにより、質問提示の効率化を図る仕組みです。商品の購入までにじっくりと時間をかける場合に適した手法です。

 

日用品などの製品に向いているのが「CBC(Choice Based Conjoint Analytics)」で、実際の店頭を再現して行う選択型のコンジョイント分析法です。商品棚をモニターへ提示し、その中から最も気に入った1種類を選択してもらうことを繰り返し行います。コンジョイント分析には、右か左かを選択させるような一対型の分析であるACA(Adaptive Conjoint Analysis )もありますが、ACAとの違いは、製品やサービスの特徴を事前にすべて提示する点です。

 

これをより市場実態に近い状況でシミュレーションして消費者の自然な選択行動を再現し、モニター個々の違いを捉えるような手法が「CBC+HB」です。階層ベイズ法をプラスすることで、回答者の負担を軽減させる効果があります。

 

コンジョイント分析が適している活用シーン

コンジョイント分析では、消費者が商品やサービスを購入する際、どのように購入商品を決めているか、商品の選択意識を分析する調査手法で、メーカー、デザイン、機能、価格や、製品など、消費者が商品やサービスの購入時に何を好み、重視しているかが解析可能です。そのため、新製品やサービスの開発、商品のリニューアル、価格決定などを行う際に役立ちます。

 

商品の特性ごとに消費者がそれを好む強さを「効用値」という数値指標で示し、商品選択への影響力の強さが重要度として明確に提示されます。つまり、消費者の取捨選択やトレードオフの工程が分かることで、特性を組み合わせて仮想商品を作り、商品力を測るのに適しています。

 

同様に、既存のマーケットに新商品を投入した場合のシェア予測や、リニューアル後のシェア、価格変更後のシェアなど、多様なシミュレーションも可能です。

 

コンジョイント分析のメリット・デメリット

低価格と高性能、機能性の充実と重量といった組み合わせをはじめ、コンジョイント分析では現実的に同時には実現するのが難しいトレードオフな要素を考慮して、分析が可能な点が大きなメリットと言えます。

 

理論上、実用性の高い分析手法ではありますが、調査対象となる要因の数などが多くなると、モニターが判断する選択肢が膨大になってしまい、正しく順位付けできなくなる危険性が発生するというデメリットもあります。

 

コンジョイント分析を運用する際の注意点

コンジョイント分析を実施する際は、要因と水準の設定に注意が必要です。消費者が複数の商品やサービスの中から、その商品のどの要因を重視しているか、どの水準にどれほど好意を感じているかといった、購入動機となるポイントを知ることが目的の調査方法です。

 

そのため調査にかける要因と水準を決定する際は、事前に十分な調査・検討を行うなど万全を期しておく必要があります。

 

その点をしっかりと押さえておくことで、消費者の選択行動を認識でき、新製品開発の戦略を考える場合にも、重要な情報を把握できます。